季節とともに、生活の場にある香りも変わっていきます。雨上がりの空気が、むんと香ってくる土の香りから、古民家の薄暗い部屋の隅っこみたいな(笑)香りに変わってきました。秋の色が混じってきたなあ。
ふとした香りから、びゅびゅんとある記憶が蘇る経験をしたことはありますか?
どこかのお宅から漂ってきたお味噌汁の匂いを嗅いだとたんに、子どもの頃の記憶がざっと浮かぶとか、すれ違った人のコロンの香りから、かつて仲良くしていた友達のことを思い出したり、さらに当時の時代の様子や、自分の感情までもがいっきに蘇ります。
香りの刺激の特徴は、こうして『記憶と直結!』していることです。ほかの刺激、例えば目から入る情報や耳からの情報は、その意味をとらえようとしたり、情報が自分を危険にさらす合図かどうかを判断するための処理がまずなされます。
香りの情報も、自分にとって害があるか判断する材料にはもちろんなるのですが、この『記憶と直結』のほうが先なのです。
さっきの味噌汁の話で言えば、匂いがふわーんとやってきたときに、「ん、この匂いはいったい何の料理だろう。どこからやってくるのだろう」と考えるよりも先に「わー、なつかしいー🎵」という記憶がやってきませんか?
アロマテラピーで扱う香りをとってみても、やはり同じことが言えます。植物から採取された香りなので、かつてその植物に対して思い出があるかもしれません。
とてもリラックスに役立つよと紹介される香りでも、嫌な記憶との結びつきがある人にとっては、嗅いだとたんにぎゅっと体が緊張します。
アロマテラピーを習う中での思い出も人によってはありますね。私はラベンダー・アングスティフォリアの香りを嗅ぐと必ず、自分がアロマテラピーを始めたばかりの頃の記憶や感情が蘇ります。ずっとラベンダー一本を使っていました。こんなことに使えるかな、あんなことにつかえるかな、他にはどんな働きがあるだろう。ラベンダーの小さな瓶をとってもとっても大事にしていました。
精油について調べると、こんな働きがありますよという情報を得られますが、これがそのまま誰にでも当てはまらない理由のひとつは、この『香りにひも付けされた記憶や感情』です。
精油が人に作用する経路のひとつ『脳への香り刺激』が、その人がもつそれぞれの生き方に影響を受けて、それぞれの反応を引き起こします。
だからね、実際に匂いを嗅いでみるというのが、単純だけれどもとても重要。嗅いでみてどんな感じがするか、どう体や心が反応しているかを探ってください。嫌な感じがする、よくない記憶が蘇る、頭が痛くなる、おなかのあたりが気持ち悪いなど、ネガティブな反応が感じられる場合は、目的に合ったほかの精油をあたってくたさい。
・・・そんな話をしている私は、いま「ハマメリス」のハーブウォーターを頭につけているんですよね。独特な強烈な匂いです。正直に言えば、くさい・・・のですが、私の反応はかなりはっきりと良い方なのです。
周りの人達、すみませんね・・・(^0^;)