言葉では説明できない領域

時間があれば武術研究家の甲野義紀先生の本を読むのが最近のお決まりになっています。その中に『型』についての考えを述べている箇所があって、感じたことがありました。

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『型』(基本動作)を繰り返したところで実践でそのまま役立つわけではない。型の役割はパターン化した感覚をばらばらにしていくという「癒着をはがすための基本動作」なのだと。型にはめることを良くないと受け取る人が多いけれども、基本を理解することが実践への下地を作るという意味を忘れている。

実践では、言葉にできない精妙な動きが要求される。そのためにも型を突き詰めることで動作の細部について知っていなくてはいけない。

要約するとこんな感じのお話をされていて大きくうなずきました。言葉選びがかっこいい!

基本を知るから実践で動けるが、基本はそのまま実践で使うものとは言えない。基本を身につけるからこそ、実戦での精妙な動きができる。これは基本動作によって動きを細かく把握できたひとにしか感じ分けられない、言葉では説明できない領域のものなのです。

私がしたいことに『参加した人が感じたことをシェアする場を作りたい』というのがあります。クレイ体験と体をゆるめる交流会はひとまず始めたイベントですが、やり方を教わるとかクレイの働きを知るということよりも、体験してどう感じたか、自分の体や心がどのように動くかに(ガイドである私と一緒に)注意をして見てみようというのを大事にしています。

精油やハーブウォーター、植物油の効能

クレイの働き

体をゆるめる手順

たしかにこういった知識や方法といった基本は大事なのですが、この基本だけをひたすら身につけていくのと、実際に体調管理にこれらを取り入れていくのは別の話なんです。

講習会やセミナーといった場所で一生懸命知識を得ても、方法を学んでも、それをどう実践していくかというのはぱっと見てもわからない。

例えば、野球の試合を見ているとして。私は野球のルールもいまいちわからないし自分がバットを振った経験がほぼないこともあって、プロ野球選手がいかに素晴らしいレベルで試合をしているかがわからないのです。それは、野球のルールを学んでも、バットの振り方を会議室で学んでもわからない。自分が日々練習を重ねて、試合を重ねている人であれば「あそこでなにかすごいことが起きている」というのはわかるはずです。でもそこから先は見ただけではわからない部分。自分の体で再現できるかどうかは自分の体の動きへの理解と照らし合わせてようやくたどり着ける領域なのです。

アロマについてクレイについて体をゆるめることについて頭でも体でも理解ができないと、さあ実践しようというときにどうしたらよいかわからないし、人のしていることを見ても何をしているのかわからないのです。あるいは自分はできている、あの人と同じ動きができていると思っても実はそうではない。表面的な言葉をなぞってわかっている気持ちになってもどうして不安が消えないのか、それは言葉の向こうの領域に手が届いていないからです。

まずは信頼できる人や資料から基本を学んでください。それと合わせて、自身の体で何が起きているのかを感じ取るという作業を必ずしてください。プロの言葉はヒントでしかありません。その奥の、言葉では説明できない領域は想像し感じ取ることでしか会得できません。

完成されたものはなく、物事は常に進化する可能性を持っています。私も新しいテーマの発見とそこから得られる新しい世界にわくわくしています。一緒に感じて、それをシェアする。ひとりで黙々と続けるのと違った収穫があります。

次回は12/26府中で開催です。

www.reservestock.jp

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