香りを嗅いで思うこと　もしかしたらなっているかもしれない自分について

2019-05-04
2020-04-26
身体を知る・感じる

身体を知る・感じる

くんくんくん･･･。精油の香りを吸い込んで、芳香成分が肺から全身へと広がっていく様子をイメージすると、身体からすーっと力が抜けたり、頭部のつまりが消えて軽くなったり、曇った視界がぱんと晴れたりといった変化とともに、今まで力んでいたんだなあ、頭が重かったんだなあ、よく見えていなかったんだなあと気づきます。

こういった変化や気づきを、科学的に、合理的に説明できたらいいなとは思うのですが･･･、こういう実感があるんだということそのものをまずは大切にしたいですね。

精油って、各植物から採油されます。ラベンダーから採油されたラベンダー精油、ペパーミントから採油されたペパーミント精油という具合です。

各精油の香りは、100種を超える芳香成分の集まりから成っていますが、たとえばラベンダー（ﾗﾍﾞﾝﾀﾞｰｱﾝｸﾞｽﾃｨﾌｫﾘｱ）精油に含まれる主要な芳香成分のひとつ酢酸リナリルって、ベルガモット（ミカン科）精油にもかなりの割合で含まれています。

ラベンダーの香りとベルガモットの香りに同じ芳香成分が？って不思議に思いませんか？

色で考えるとわかりやすいのですが、ピンク色とオレンジ色、どちらにも赤が混ざっています。元になる色がそれぞれの割合で混ざり合うことでピンク色に見えたりオレンジ色に見えたりする。それと同じで、様々な芳香成分がそれぞれの割合で混ざり合うことで、ラベンダーの香りとして感じられたりベルガモットの香りとして感じられたり、またミントの香りとして感じられる。

どの精油の香りも、芳香成分が混ざった結果なんだというふうに見ていくと、ラベンダーもベルガモットもミントも、たまたま結果（生まれた体）が違っただけでみんな一緒というか、芳香植物全体がいとおしく思えてきますね。

ごはん待ち。#ねこ部

たまたま結果が違っただけでみんな一緒といえば、人との関係でも似たようなことを思います。

誰かに対して不満を持ったり、否定的な見方をしてしまうことってどうしてもありますけど、それってつまり「私とあの人は違う」ということにすっごくフォーカスしている状態です。

だからね、不満が多いときって、よくよく振り返ってみると逆に優越感というのかな、私はあの人と比べて優れているわ正しいことしてるわっていう気持ちもよく経験しているはず。あの人はダメ、自分は正しい、そうやって気持ちの浮き沈みが多いのだけど、どちらも「私とあの人は違う」ということにフォーカスしていることに変わりないのね。どっちも同じこと。

「私とあの人は違う」のは確かに事実なんだけど、その違いを強調することで自分の存在をはっきりさせようとする行為って、なかなか苦しいのです。間違っているあの人、劣っているあの人、正しい自分、優位な自分。人ってそんなに簡単に分けられるものでしょうか?

あの人も私も同じように大切に思う人がいて、優しい気持ちになったり心配したり悩んだりしながら毎日を過ごしています。生まれた体が違うだけで、あの人の中にも私にも心がある。

育った環境や持っている能力は異なるけれど、言動や考え方も違うけれど、心を持ってるのは一緒だよなあと思うようになると、否定的に見ているあの人のことが、過去の自分のようにも未来の自分のようにも、また、もしかしたらなっているかもしれない自分の姿にも見えてきます。

みんな一緒じゃんと思うと、どの精油も優劣なくただ個性的な存在に見えるように、人もみんな一緒じゃんと思えると、他人の正誤や優劣が自分の中にもあること、さらにいうなら正誤や優劣「のように」見えているだけだということがわかります。

･･･なんてことを考えながら香りを嗅いで体の反応を追っていくと、嗅ぐたびに自分の違った面が浮き上がってくるように感じられます。くんくんくん。自分の中にあの人もその人もこの人もいる。あの人の中にその人に中にこの人の中に自分がいる。そう感じられます。

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